光 -少年の心にあるもの- 僕は生まれた時から目が見えない。 世界を知らない。 光を知らない。 でも一つだけわかることがある・・・。 素敵な人に出会いました。 もちろん姿は見えません。 僕がピアノを弾いていたら後ろから急に話しかけてきました。 最初は驚いたけれど、声で悪い人ではないとすぐわかりました。 とても綺麗な声でした。 今でも覚えています。 「ねぇ、ピアノを弾いてくれない?」 僕の曲を聴きたい?なんでだろう。今までそんなことを言ってくれる人はいなかった。 そして僕の曲はいつまでも未完成だ。 「君の曲からは光を感じる。」 そういって彼女はピアノを弾き始めました。 自分でも信じられないですが、僕はその曲が心に直接語りかけてきたかのように聞こえていました。 自分の心に響く音、これが光なのだろうか。 今まで光を感じたことはない。でもこの曲から光を感じることができる。 僕は一緒にピアノを弾きました。何度も弾きなおしました。 夢中になって弾きました。彼女の曲はいつでも頭に入ってきます。 曲が完成すると彼女がいないことに気づきました。 この曲を彼女に聞いてほしい。彼女のおかげで完成したんだ。 彼女のピアノを聴いて、僕でも光を感じることができた。 彼女にこの曲をずっと聴いてもらいたい。 だから・・・だから・・・ 僕は生まれた時から目が見えない。 外の世界を知らない。 光を知らない。 でも一つだけわかることがある。 光はいつだって僕の心の中にあるんだってことを。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 音 -少女の心にあるもの- 私は生まれた時から耳が聞こえない。 世界を知らない。 音を知らない。 でも一つだけわかることがある・・・。 素敵な人に出会いました。 もちろん声は聞こえません。 私が近寄ったら驚いた表情を見せていました。彼は目が見えないように見えました。 私は出せる限りの声で話しかけました。きっと汚い声だったに違いありません。 今でも覚えてます。 「ねぇ、ピアノを弾いてくれない?」 私が曲を聴きたい?なんでだろう。今までそんなこと思うことなんてなかった。 「君の曲からは光を感じる。」 自分でも信じられないですが、私はそのピアノが心に直接語りかけてきたかのように聞こえていました。 自分の心に響くこの音、きっと彼なら聴いて形にしてもらえる。 弾いたこともないピアノをわけもわからず叩きました。 きっとめちゃくちゃだったに違いありません。 そうすると彼が一緒に弾いてきました。きっとこの曲を聞き取ってくれたんだ。 伝わった。私の思いは伝わったんだ。 彼は夢中になってピアノを弾き始めました。 私は彼の邪魔をしないよう静かにその場を後にしました。 気づくと涙がこぼれていました。 なんでだろう。彼の曲が聴きたい。聴きたいよ。 彼の曲をずっと聴いていたい。 だから・・・だから・・・ 私は生まれた時から耳が聞こえない。 世界を知らない。 音を知らない。 でも一つだけわかることがある。 音はいつだって私の心の中にあるんだってことを。